第2回 分かりやすい車種別セッティング

第2回 分かりやすい車種別セッティング

ここでは自転車の種類の一部とそのセッティング方法を解説します。軽快車」「MTB (マウンテン・バイク)」「 ロードレーサー」「 ランドナー」の4種類のサイクリング用に適したセッティング目安をご紹介します。

軽快車

いわゆる "ママチャリ" と言われている、街で普段乗るような自転車のことをさします。

1 サドル
お尻が痛くなる原因の多くが、サドルの高すぎや低すぎによるものです。 サドルにまたがって両足のつま先が地面につく高さが適正です。またサドルを真横から見て、座面が地面と平行なるように固定します。

2 ネジ・ボルト類
定期的に増し締めを行ない、とくに回転部など大きな力のかかる部分は緩みやすいので注意が必要です。

3 ガタつき
ヘッド部、ハンドル、タイヤの中心など、ガタの出やすい部分です。ガタがある場合は、専門店などで正しく調整してもらいましょう。

4 ハンドル
ハンドルの高さが高すぎても低すぎても手や腕に負担がかかり、正しいハンドル操作ができません。サドルの座面から約10cm上にハンドルグリップの上部が位置するように固定するのが適正です。

5 空気圧
タイヤの表面を親指で強く押してへこむ程度が適正(約2気圧)です。空気圧が低すぎれば抵抗は増して走りずらく、高すぎればグリップ力が低下して危険です。

6 チェーン
油を切らさないようにし、上下に1cm程度のたるみが適正です。チェーンのたるみすぎは効率も悪く、外れの原因にもなります。また張りすぎは抵抗が増してチェーン切れにつながります。

7 タイヤ
すりへってトレッドパターンの無くなっている場合や、サイドにひび割れが出はじめているタイヤは交換の時期です。また空気を適正に入れて2、3日で抜け始める場合は、バルブ(虫ゴム)の交換かチューブ自体の劣化が考えられます。

MTB (マウンテン・バイク)

「MOUNTAIN BIKE」の略で、オフロードを走れる自転車をさします。

1 サドル
3点調整法 によってオンロードでの高さを調整しますが、林道などオフロードを連続走行するときは、地面に足がつきやすいようにサドルを低めにすれば走りやすくなります。

2 ステム
突き出しが長すぎても短すぎてもハンドル操作がしにくいばかりか、上半身に無理な力がかかり疲労につながります。3点調整法 を参考に身体のサイズに合ったものを選びましょう。定期的に増し締めを行ない、とくに回転部など大きな力のかかる部分は緩みやすいので注意が必要です。

3 ハンドル
サドルの座面とグリップの上部が同じ高さが標準的です。

4 フレームサイズ
体に合った適正サイズを選ぶのが大切です。ショップのアドバイスをしっかり聞きましょう。オフロードで足つき性をよくするために、フレームにまたがって両足が地面に確実につく小さめのフレームサイズを選ぶと、恐怖心が軽減されます。

5 ブレーキレバー
実際に乗車して確実にレバーを握れる位置に調整します。取り付け角度が上すぎても下すぎても、確実な操作ができません。

6 タイヤ
オフロード用のブロックパターンやオンロード用のスリックタイヤがあります。とくにブロックパターンは走行目的に合わせた種類(乾いた路面用、泥などグリップ力が必要な路面用など)がありますので、適切なタイヤを選びましょう。

7 チェーン
とくにオフロードを走る機会の多い場合は、洗浄、注油をこまめに行ないましょう。

8 クイックレリーズ
ホイールを留める軸のことです。前後のクイックレリーズレバーが確実にロックされているか、必ず確認します。

9 空気圧
メーカーが指定する適正空気圧に合わせましょう。基準値はタイヤの側面に示してあります。通常オフロード用は1.8〜2気圧が標準ですが、オンロードを走る機会が多い場合は、0.5〜1気圧ほど高くすると効率よく走れます。

10 ギア
ギアチェンジの必要が多いMTBですから、チェンジレバーやディレーラーの正しい調整を行なっておきましょう。

ロードレーサー

ハンドルが「ドロップハンドル」と呼ばれる、垂れ下がった形をしており、平坦コースを速く走ることができる自転車をさします。

1 フレームサイズ
平均走行速度が高めのロードレーサーは、身体に合ったサイズのフレームを選ばないと効率の良い走りができません。ショップのアドバイスを聞いて、必ず身体に合ったサイズを選びましょう。

2 サドル・ハンドル・ステム
3点調整法でサドルの高さを決定し、スピードを出しやすいようにサドル座面から約5cm下にハンドル上部がくるように固定するのが標準的です。

3 ブレーキレバー
ドロップハンドルの場合、上部を握っていても下部を握っていてもブレーキをかけやすいように、ブレーキレバーの先端がハンドル下部と水平になるように固定するのが標準的です。

4 タイヤ
通常、700CのWOタイヤ (チューブ外れるタイヤ) かチューブラータイヤ (タイヤとチューブが一体になっているタイヤ) が装備されています。パンク時にはスペアのチューブやタイヤを用意しておけば、その場で簡単に交換できます。

5 空気圧
700CのWOタイヤやチューブラータイヤは、空気圧が適正でなければ性能が発揮されないばかりか、リムまでを破損してしまいます。エアゲージなどを使ってメーカー指定 (タイヤの側面に基準値が示してあります) の正しい空気圧に保ちましょう。

6 ペダル
専用シューズと組合せて使用するビンディングタイプのペダルが主流です。しかし途中で自転車を降りて歩く機会の多いサイクリングには、一般的なスポーツシューズでも使えるトークリップ&トーストラップを付けたペダルもおすすめです。

7 ギア
ロードレーサーはスピードを出しやすいように高めのギア比設定になっています。高低差の多いサイクリングコースを走る場合には、後ろギアは歯数の多いもの、前のギアは歯数の少ないものに交換しておくとラクに走れます。

ランドナー

長距離サイクリングや自転車旅行に適した自転車のことをさします。

1 フレームサイズ
長距離を走るためには、効率的な走りができる身体に合ったフレームサイズを選ぶことが大切です。 ショップのアドバイスをしっかり聞きましょう。

2 ブレーキレバー
ハンドル上部を握って走る機会が多いため、ブレーキレバーの先端がハンドル下部より 多少上になるように固定すればハンドル上部からブレーキがかけやすくなります。

3 サドル・ハンドル・ステム
3点調整法でサドルの高さを決定し、サドルの座面とハンドルの 上部が同じ高さになるように固定するのが標準的です。

4 タイヤ
耐パンク性を向上させたタイヤを選べば、長距離旅行などでパンクトラブルを解消できます。

5 ギア
ランドナーは、荷物を積んで起伏の多い長距離でも疲労を軽減し、効率的に走れるように、ギア比が高めに設定されています。

6 ペダル
旅行中、自転車を降りて歩く機会が多いため、トークリップ&トーストラップを付けたペダルが使いやすいでしょう。

7 空気圧
積載する荷物が重たい場合は、メーカー指定の空気圧より高めにすれば転がり抵抗を軽減できます。

3点調整法

自転車に乗るときは、正しいセッティングが大切です。快適に走れるようになるだけでなく、体への負担を軽減してくれます。

まずはこの3点調整法でセッティングし、ショップや先輩サイクリストのアドバイスを聞いて、より自分に合ったセッティングを見つけ出してみましょう。



3点調整法とは
サドル、ペダル、ハンドルの3か所を調整して、正しい乗車姿勢を決める方法

1 サドル上下高さの調整
ペダルを一番下にさげシューズのカカトをのせてみて、ヒザが軽く伸びるようにサドルを上下に調整します。

2 サドル前後位置の調整
ペダルを斜め前方(時計の2時の位置)にし、ヒザ頭とペダルシャフト (ペダル軸) を結んだ線が、地面と垂直になるよう、サドルを前後に調整します。

3 正しいグリップ位置を決める
図のSHとBSの長さをはかり、SHの長さがBSより3cm短くなるよう、ステムの長さを調整します(SH=BS−3cm)。